人と人とのつながりを重んじ社会に貢献する
東京都を拠点に家事代行サービスを手がける(株)弁天。
社長の磯山氏は、少子高齢化で人間関係が希薄になる世の中を変える使命感を持って起業に至ったという。
磯山 淳社長のプロフィール
東京都伊豆大島出身。大学時代にスイミングスクールでアルバイトをしたことがきっかけでそのまま就職する。その後、市民プールなどスポーツ施設の管理をする会社を立ち上げた。建物清掃の方面へも事業を拡大すべく(有)スポーツファンダメンタルズを設立。昨今の女性の社会進出や、少子高齢化をふまえて、家事代行サービスにも着手することを決意し、2020年に(株)弁天を立ち上げた。
サービスクリエイター 熊谷 敬子さんのプロフィール
宮城県仙台市出身。幼少期から家事をする環境で育ち、10代で家事全般をこなす。その後、発達障害や生きにくさを抱えた人々、片付けを苦手とする人と向き合う中で自らの使命に気付く。接客業、家事代行業の2社を経験後に単身上京。家事代行業を奮闘する中で、磯山氏と出会う。
会社情報
株式会社 弁天 | |
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住所 | [本社]〒152-0012 東京都目黒区洗足2-26-8 [新宿事務所]〒161-0033 東京都新宿区下落合3-9-22 |
URL | https://www.benten-kaji.co.jp/ |
これまでの道のり
私はもともと競泳に打ち込んでおり、社会人一歩目の就職先もスイミングスクールだったことから、初めはプール管理の事業を立ち上げました。ただ、当時はライフセービングの競技も開始した頃で、正直に言うとさほど会社経営に集中していたわけではなかったんです。
あるとき、社員の1人が「このままでは結婚もできないな」と吐露しているのを耳にしまして。「もっと経営者として責任を持って、社員の生活を支えなければ」と、自戒の念が湧いてきたんです。それからはしっかりと仕事とも向き合えるようになり、建物清掃業など少しずつ業容を拡大していきました。2010年頃のことです。
昨今の世の中の流れを見ていると、女性の社会進出だったり、少子高齢化によるお年寄りの孤立だったり、さまざまな変化がありました。そうした社会的な大きな動きに、何か自分も寄与できることはないかと考え続けた結果、たどり着いたのが家事代行サービスだったんです。私自身にとっては未知の分野だったものの、その当時、ちょうど知り合いになった熊谷が精通していましてね。「それなら二人で始めよう」と、当社を設立しました。
こだわっていること・大切にしていること
「かゆいところに手が届く」サービスを心がけて
お部屋の片付けや買い物、料理、お子様やペットのお世話まで、ありとあらゆる家事です。料金に関しても、わかりやすく時間制で設定していますので、個別のご要望にも柔軟に対応できます。
ときには、ご高齢のお客様の話し相手になったり、脳トレのサポートをしたりと、一般的な家事代行の範囲を超えて、お友だちや家族の一員であるかのように対応していただくこともあります。その中で、お客様から面と向かって感謝の言葉をいただけたときが私たちの喜びなんです。家事に関わらないことでも、お手伝いできそうなことなら何でもします。かゆいところに手が届く、便利屋さん的な存在として気軽にご利用いただければと思っているんです。
「業者さんとお客さん」というよりも、もっと近い距離感であることを強く意識しています。
現代社会では、人と人との関わり合いがどんどん稀薄になっていて、隣人はもちろん、親類ともなかなか会わないという方も増えていますよね。だからこそ、私たちはこのサービスを通じて、人と触れ合えること、心が通い合うことの温かさを、一人でも多くのお客様に感じてもらいたい。仕事の質で評価していただくことも大切ではあるものの、最終的には「あなたに会いたいから来てほしい」と言っていただけることが理想なのです。
実際、「会いたい」と連絡をくださるお客様はいらっしゃって、それが日々の原動力になっていると感じることも多いです。先日も、訪問先のお子様がとても懐いてくださり、私がいざ帰るタイミングになると寂しがって泣いてしまったんですよ。そこまで深く触れ合えたことが嬉しかったです。また、私としても引き続き長いお付き合いができればという前向きな気持ちになりました。
これからのビジョン
私はこれまで、自分のやりたいことよりも、世の中が求めていることが何かを見極めながら事業内容を少しずつ修正することで、約30年も会社を存続させられたのだと思っています。今、それをもう一度確かめるべく、新たな挑戦をしているのかもしれませんね。時代に合わせ、変化し続けることでしか見られない景色もあるでしょうから。
事業拡大を見据えて、最近は人材の採用・育成にも力を入れています。ただ、人対人の付き合いを大切にする風土は保ち続けたいので、会社の規模そのものはそこまで大きくするつもりはありません。特に今はコロナ禍でこれまで以上に人々が物理的にも精神的にも分断されていますから、当社の事業を通じて、私たちが皆様をつなぐ架け橋になれるよう、これからも努力を続けてまいります。